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【教育ブログ】歴史学習は暗記よりもイメージが大切?

歴史を勉強するのはどうしてなのだろう?


歴史を学ぶといろんなことが理解できます。例えば、普通や当たり前は時代や場所によって変わる、ということを知ることができます。


それって、どういうこと?


たとえば、今の日本では「お金を稼ぐのは良いこと」とされていますが、ここ200年ちょっとの話で、人類の歴史の中では最近のことなんですよ。


えっ、そうなの?


はい。たとえば日本の戦国時代では稼ぐ能力はまったく評価されず、切り合いに強い人が偉いとされていました。


たしかにそうだね!そうゆう視点でも歴史は学べるんだね!




今回のテーマは「歴史」です。

みなさんは「歴史」について、どんな印象を持っていますか?

「覚えることが多い」「難しい」「勉強する意味がわからない」。。

そんな印象を持たれている方、多いと思います。

「いいはこつくろう鎌倉幕府(1185年)」「鳴くようぐいす平安京(794年)」のように、学校での歴史の学び方には、テストや受験に合わせて暗記を重視するという側面がまだまだ強く残っているかもしれません。

しかし、何かを学ぶ際には、必ずしも事細かに暗記する必要はないと思います。現代においては、パソコンやスマホなどの便利なツールを用いることで、すぐに情報を手に入れることができます。

そのため、歴史を学ぶ際には、出来事や人名や年号を事細かに覚えることよりも、「当時の人々はどんな価値観で生きていたのだろう」「どんな暮らしで何を楽しんでいたのだろう」といったように、当時の人々の価値観や暮らしぶりをイメージしながら学ぶことが重要だと思います。



当たり前は時代や場所によって違う


こうして、昔の人々の暮らしぶりについて学ぶことで、現在私たちが生きる日本の社会についての理解も深まります。「昔はこんなことを価値が高いとされていたんだ!」という気づきから、「昔に比べて今はこうだな」と考えていくことで、今の社会が当たり前ではないと感じられるようになると思います。

先程もお話したように、今の日本のようにお金を稼ぐのが偉いとされてきた歴史は浅いものです。中世のヨーロッパでは稼ぐ能力はまったく評価されず、むしろ否定的に見られていたといってもいいくらいです。その当時の社会的な「偉さ」の指標はなんだったかというと、信仰心ですね。信仰心が篤い人ほど偉い、という社会だったんです。

戦乱が続いていた日本の中世なら、やはりお金を稼げる人なんかよりも、切り合いに強い人のほうが尊敬されたでしょう。ですので「偉い人」の定義は時代や社会(環境)によって全然違うのです。



偉人の心情をイメージしてみる


同様に、歴史を学ぶことで、人間に対する理解も深まります。過去の偉人たちがどのように生きていたのかを知ることで、自分自身や人間についての理解を深めることができます。例えば、マハトマ・ガンジーは非暴力運動の代表的な指導者であり、独立運動に尽力した人物です。彼は人々に対して、暴力ではなく非暴力で闘うことを訴え、自らもその実践に取り組みました。彼は何度も逮捕され、投獄されたにもかかわらず、非暴力を貫き通し、多くの人々の尊敬を集めました。

このエピソードに対して「どうしてどんな状況でも彼は非暴力を貫けられたのか」「今の社会で言うとどんな状況に当てはまるのか」など、ガンジーの感情や価値観をイメージしてみることが大切です。そして「自分だったらどうするだろう」「どんな状況に当てはまるだろう」と考えることで、自分自身の理解が深まり、また困難に立ち向かう勇気を持つことができるかもしれません。


したがって、学校で歴史を学ぶ際には、数字や文章を暗記するのでなく、過去の人々の価値観や暮らしぶりをイメージすることで、私たちは社会や人間についてより深く理解することができるでしょう。そして、それは必ずしも教科書や本からでないと学べないわけではありません。現代において歴史を学べるコンテンツはいろいろあります。


でも、文章を読んだり、資料を見るだけでイメージを膨らますのは難しいですよね。そんなときに、おすすめしたい学習方法がマンガです。マンガはストーリー調で時代背景を理解するのに最適であり、当時の人々の心情や生活について深く理解することができます。




こんな本もあります。「ドラゴン桜」編集者の佐渡島氏など、マンガの達人たちが「文学」「職業」「歴史」「戦争」「科学・学習」「スポーツ」などのテーマに分けて、100作品を紹介しており、参考になると思います。







国内外の歴史の面白さを学ぶコテンラジオ


最もおすすめしたいのが「COTEN RADIO | 歴史を面白く学ぶコテンラジオ」です。

学校の授業では中々学べない国内外の歴史の面白さを学ぶ番組で、日本のApple Podcastで長い期間人気上位にあるインターネットラジオ番組です。

コテンラジオは、各テーマ1人の人物にスポットライトを当てて語るのですが、その人物の人格や当時の価値観を意識して語られるので、その時代のリアリティがより色濃く伝わってくる印象を持ちます。


また、MCの深井龍之介さんは、歴史の中であまり重要とされていない面白い知識や小さな発見を重要視されていて、リスナーが出来事や状況を具体的にイメージできるように話すことを意識されているようです。私自身、コテンラジオを聞いて歴史の面白さに改めて気づかされましたので、ぜひみなさまにも拝聴いただければと思います!また、キープオンラボとコテンラジオはまったく関係がありません(笑)






学校の教育スタイルも変化している


学校では「歴史=暗記」のイメージが強く、語呂合わせで人物と年号を覚えてもテストが終わったら大抵忘れてしまい、「覚えていても社会で役に立つの?」なんて思う人は多いと思います。

しかし、2022年から日本史と世界史を融合した近現代だけを教える「歴史総合」という新しい科目が高校で導入され、少しずつ学習スタイルが変化してきています。


歴史総合は、生徒自身が能動的に学ぶことを重視しています。歴史上の出来事を時系列にそって学んでいくスタイルを取らず、「時期や推移に着目し、因果関係などで関連付けて」学ぶことや、「複数の立場や意見を踏まえて」考えることが重視されます。

また、生徒自身が教科書や資料から、疑問に思ったことや探求してみたいことの「問い」を立てることも行います。教師は、生徒がそれぞれ自分で探求できるように、また資料に基づき複数の立場から検討できるように、授業を構成することで学習を深めるサポートをします。


歴史を学ぶためには、過去の人々の暮らしぶりや価値観をイメージすることが大切で、そのイメージをつかむためにマンガや「COTEN RADIO」を紹介しました。また、高校では「歴史総合」という新しい科目が導入され、「歴史=暗記」のイメージが薄まりつつあります。



自分が考えていることを認識する「メタ認知」


歴史を学ぶことで、「当たり前は時代や環境によって作られる」ことを知れると、お話してきました。そして、いま当たり前とされていることを考えていくことで、いま自分が生きている社会や環境についての理解が深まります。


それは、「海外に行って日本の良さに気づく」ことに似ています。例えば中東に行くと、「日本のトイレってやっぱりきれいだなぁ」「日本の道路は整備されているなぁ」と感じることがあるでしょう。歴史を学ぶことも同じで、当時の人々の価値観や文化を知ることで、自分自身や自分の社会を理解することができます。


このように、自分自身や周りの環境を客観的に捉えることで認知することを「メタ認知」といいます。カンタンに言うと、「自分が考えていることを認識すること」です。

例えば、勉強をしていて「この問題が難しいな」と思ったときに、自分の知識やスキルをチェックします。そして「今の自分の実力で、この問題を解くにはどうすればよいのか」ということを考える、これがメタ認知だといえます。

メタ認知をすることで、自分自身の理解が深まり、問題解決の選択肢も広がります。



情報があふれる社会に求められるメタ認知能力


スマホやSNSの普及によって簡単に情報がに手に入るようになりましたが、逆に情報があふれている時代ともいえます。そんな時代でわたしたちが気を付けるべきことは「情報に振り回されないこと」で、情報の取捨選択が大切になってきます。そんなときに「メタ認知能力」が必要になってきます。


メタ認知をすることで、自分が情報にどのように反応しているかをより理解し、より的確な決定を下すことができるようになります。例えば、誰かの批判的なコメントを読んだとき、自分がどのように感じたのかを客観的に考えることで、そのコメントが自分にとって有益なものであるか、あるいは無視すべきものであるかを判断することができます。また、テスト前に自分がどのような学習方法を使っているかを振り返ることで、次回のテスト勉強において改善点を見つけ出すことができます。


自分自身をよりよく知ることで、より自信を持って行動することができます。メタ認知を学ぶことは、個人的な成長につながり、人生において重要なスキルを身につけることになります。



自己理解を深めるキャリア教育「Yononaka」


歴史学習以外でも、メタ認知をすることはできます。たとえば、日常生活のなかで浮かぶ自分の感情や考えを書き出し、そのあとで眺めて分析することで、自分自身の理解は深まるでしょう。そこからまた何かについて考え、そのことを自分以外の人に話して反応を見れば、改善策が見つかります。


そのプロセスを複数のワークを通して体験できるのが、当スクールで開催しているキャリア教育「Yononaka」です。毎月テーマをひとつ設定して複数のワークをつくり、それに対する意見を個別で考え、参加者同士で共有する。その繰り返しでテーマに対する理解を深めていく学習です。次回は「AI(人工知能)」について探究する予定です。






以上「歴史を学ぶ意味」について書いていきました。 歴史を学ぶことで、当たり前は時代や環境によって作られることを知ることができます。学習する際に、昔の人々の価値観や暮らしぶりをイメージすることで、自分自身や自分の社会やについてより深く理解することができます。 学校の教育スタイルも変化しており、高校では「歴史総合」という科目が導入され、能動的な学習が重視されつつあります。 歴史を学び、メタ認知能力を育むことで、情報に振り回されないよう取捨選択することができ、自身の生活をよりよくしていけるでしょう。


次回以降も、教育に関する発信をしていく予定です。ひとつのテーマを深堀りして書いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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