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【🧠Yononaka】こころとからだ 2/18

よのなかの身近なものをテーマに、正解のない問いに対して参加者同士で意見共有する、対話型ワークショップ「Yononaka」


毎月1回、オンライン90分の時間で実施しており、今回は「こころとからだ」というテーマで行いました。


まずこのテーマにした理由は、スクール生からのリクエストです。「心理学をやってほしい!」「身体についてやってほしい!」という声が多く挙がったので、心と身体をテーマにしました。


私たちは大阪の八尾市でロボットプログラミングスクールを運営しております。スクールの子供たちは日々ロボットと触れ合う中で、自然と人間とロボットを比較して物事を考える習慣が身についてるんじゃないかと思います。だからこそ、人間の本質を象徴する「心と身体」についてみんなで話してみたい!と思ったのではないでしょうか。


ワークを終えた感想を先にお話ししますと、参加者1人1人の「人間味」が強く感じられる、とても意義深い時間になったと思います。人間味とはつまり人間らしさですね。


前半部分で「心」に、後半部分で「身体」に焦点を当てて考えました。前半は、自分自身の記憶を探り、思考を巡らせながら、言葉を選んで答えている様子で、後半はリラックスした雰囲気の中で、1人1人の個性やクセを楽しく表現する時間となりました。そして最後のワークでは心も身体も満たされる状態、すなわち「健康」を維持するための条件について考えましたが、その1人1人の回答に「人間らしさ」を超えた「その人らしさ」を感じました。(その様子は下記のレポートでご確認ください!)


最後の方はファシリテーターの私が何か言わなくとも、参加者同士で生まれたコミュニケーションが自然と深まり、意見の交換や発展が見られたのが良かったです。その結果、予定より30分オーバーの大ボリュームになりましたが、参加者同士の深いつながりが生まれたのではないかと思います。


ここからは授業の流れを記していきます。今回の参加者は11名(小学生:3名、中学生:2名、高校生:2名、大学生以上:4名)、3つのグループでワークに取り組みました。



ワーク①「最近あった良くなかった出来事」

まず最近、良くなかったなぁと思った出来事を共有するワーク。そのときどう感じていたのか、自分の感情も一緒に共有していきました。まず1分間の個人ワークで各々が意見を作って、その後グループに分かれて共有しました。



「良くなかった出来事」という問いでしたが、各々にとって抱いている感情が異なりましたね。悲しい、嫌とか嫌い、恐れや不安、怒りなどさまざまな感情の体験が共有されました。


人は何かと「良い」「悪い」と二元的に判断しがちだと思います。そして「悪い」と判断した経験はそれ以降目を背けて、記憶の押し入れに置きっぱなしにしてしまう。だからこそこのワークでは、避けがちな「悪い記憶」を引っ張り出して、そのときの感情としっかり向き合うことを行いました。


そして、さまざまな感情を体系的に整理した「プルチックの感情の輪」を紹介し、それをもとに次のワークに取り組みました。




ワーク②「ある感情の身体の感覚を伝えよう」

感情のどれをピックアップしてもいいので、ある感情を抱いたときの自分の身体の感覚、それを自分なりの言葉で表現するワークです。個人ワークからグループワークの流れで行いました。



同じ感情であっても、1人1人にとって身体の感覚は異なることが分かると思います。そこに関して、自分の意見を押し付けることは一切なく、参加者は、「自分はこう感じるけれど、○○さんはこう感じるんやね。確かにそう言われてみればそうやね」といった共感の姿勢で傾聴していたのが印象的でした。だからといって他者の意見に流されることなく、自己の考えをしっかりと持てていたのが、なお良かったと思います。


ここで3分間の休憩を挟み、後半は身体に注目してワークを行いました。



ワーク③「つい動かしてしまう自分のクセ」

無意識のうちに〇〇してしまっている身体の動き、他者から言われたことがある自分の特徴など、自分自身のクセを共有するワーク。それがどんな状況で起きるのかもあわせて意見共有しました。個人ワーク→グループワーク。



わいわい盛り上がりました。「これは確かに!」とか「えぇこんなクセあるんや!」とか、自分のクセがどのように受け取られるか、参加者は楽しんでいる様子でした。



ワーク④「動画をみて感じたことを話そう」

心と身体に関する動画を見ての感想や、心と身体の関係について改めて思うことなど、フリーな形で意見共有を行いました。視聴した動画は2つです。



まず「ラバーハンド錯覚」と呼ばれる錯覚現象。あるYouTuberが実験してリアクションをとっている様子を見ました。




次に「ボディシェアリング」と呼ばれる技術。イェール大学助教授の成田悠輔さんが実際に体験されている様子を見ました。



ワーク⑤「あなたににとっての健康であり続ける条件」

心もグッド、かつ体もグッドな状態、すなわち健康。



最後のワークでは「自分にとっての健康」を考えました。みんなに当てはまるのではなく、自分自身にとっての健康を維持していける条件を1人1人共有しました。最後のワークはいつものように、1人1人全体の場で発表していきました。




冒頭で述べたように、人間らしさを超えた「その人らしさ」が際立つ意見共有だったと思います。前半で心について深く考えることが、参加者自身の内省を促し、後半で自分の身体のクセをオープンに共有する土台になったと思います。それによって1人1人の固有性が浮き彫りになり、互いに共感しながらも、自分の意見をしっかりと紡ぐことができたんじゃないかと思います。


スクールに通っている小学生や中学生が社会人になる頃には、コンピュータやロボットと共に仕事をするのは当たり前で、共に生活もしているかもしれません。このような変化を見据え、3月のスクールフェスタでは、ChatGPTを活用した作曲体験やイラスト作成など、コンピュータへの興味を深める機会を提供していく予定です。




最後になりますが、改めてAIと人間との違いを考えると、自分の身体を動かせる点、それによって感じることができる点が大きな違いだと思います。スクールで取り組んでいるロボットプログラミングはまさに、目の前のロボットを見ながら、あるいは音を聞きながら、手を動かし、修正しながら作業を進める活動なので、今後よりいっそう貴重な時間になると思っています。




参加者の感想を以下に記します。・〇〇くんの恐怖に対して「身震い」するという点が、かなり的確だなぁと思いました。・選んだ感情が同じ人でも、感じ方はそれぞれ違う部分にとても興味が湧きました。・健康を考える学問を勉強しているから、人にとって良いこと、健康になれる生活をたくさん知ってるけど、それは、一人一人の心の健康にとって良いことなのか、改めて考えれた。


Yononakaも3年目になりました。毎回10~15人が参加しています。常連の参加者は「意見をつくって表現すること」が習慣になっていて、ひとつの問いに対する回答が、量・質ともに進化していっています!おかげさまで毎回こちらが思っている以上に意見が活発化するため、時間オーバーが続いております(笑)


TikTokなどの短尺動画の常態化、動画は倍速視聴が当たり前、だんだんと生活が高速化しているなかで、正解のない問いに対してじっくり吟味する時間が貴重だと思っています。


自分の意見を発信する、他者の意見に耳を傾ける、そしてまた自分の考えをフィードバックする、その会話の連鎖によって生まれるアイデアを大切にしていきたいと、個人的に思っています。互いの視点を尊重しながら意見交換を行うことで、一人では思いつかないような創造的なアイデアが生まれることでしょう。



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