よのなかの身近なものをテーマに、正解のない問いに対して参加者同士で意見共有する、対話型ワークショップ「Yononaka」
毎月1回、オンライン90分の時間で実施しておりますが、今回はスクールが一同に集まるイベント「スクールフェスタ」内で開催しました。
久しぶりのリアル開催で、総勢30名ほどでコミュニケーションを楽しむ時間になりました。おやつ時間での実施ということで、おやつタイムを挟みながら、リラックスした状態で各々の思うことを共有できたのではないかと思います。
まず、オンラインではできない「ウォーミングアップ」から始めました。運動をするときと同じように、問いかけに対してすぐに回答するのも準備運動が必要だと思います。簡単なお題に一斉に発声する形で進めました。
やはり生は違う!笑
思っていたより声が響いたので、もう一回。
「みかん!!」と後ろの方から叫び声。
飛び入り参加の高校生も積極的に回答してくれました(笑)
この流れでワークに入ると、やはり考えが浮かぶスピードが早くなったようでした。アイスブレイク、大事ですね!
そして、今日はいつも以上に問いを投げかけることを伝えました。言いたい人から大きくつぶやいてください!という感じです。
そして、頭の中で「?」を浮かべながら、お題を考えたり、他の参加者の考えを聞いたりしてほしいと、声かけをしました。
お題①「タイムマシンで1日過ごせるなら“いつ”の“どこ”に行って“何”をしたい?」
テーマが「時代を横断しよう」だったので、まずはドラえもんのアイデアを拝借し、タイムマシンでどんな時代旅行をしたいのか、聞いていきました。1分間1人1人の意見を付箋に書き出し、その後グループに分かれて共有しました。
あえて過去か未来のどちらかに限定しなかったので、多様な意見が見られたと思います。「2300年後の八尾に行って散歩してみたい」「100年後の日本人はちゃんと生きているか確認したい」など、自分の周りの未来を知りたいという意見。「ジュラ紀の恐竜を見たい」「本能寺の変を遠くから見たい」など、授業で学ぶ歴史の瞬間をこの目で見たいという意見。4つの象限に分布するような形で表現されていたと思います。1人1人の違いを面白がれる、素敵なワークになったと思います。
その後数人に発表してもらいました。
「発表できる人?」ではなく、「発表したい人?」と聞くことで、参加者は堂々と答えることができたと思います。
できるかどうかではなく、やりたいかどうかが重要。できた、できていないの評価はしませんし、Yononakaには正解がありません。正解がないお題だからこそ、各々思ったことを口にして、他者と共有する楽しさを感じてもらえるのだと思います。結果的に「発表するぞ!」という人が何人もいて、嬉しかったです。
お題②「この世にまだない新しい“おやつ”を考えよう」
ここからはおやつの時間です(笑)テーブルごとにポッキーを配って、食べながら考えていきました。
まずポッキーに対しての質問です。
「ポッキーはいつ発売されたでしょうか?」
「当時何が新しくて画期的だといわれたでしょうか?」
ビスケット部分が持ち手となっており、そうすることで手を汚さずにチョコを味わえるといった部分が当時は革新的だったようです。
それを伝えてから、お題②を考えていきました。参加者みなさんの発明はこちらです。
「実現可能かは気にせず、おもしろいアイデアをください」
そう声かけしたことも影響したのか、ほんと様々な意見が出ました!笑
おもしろいアイデアばかりですし、グループ共有も全体共有もかなり盛り上がっていました!
その後、発明品は警戒されやすいということを伝えました。カメラが発明されたとき「シャッターを押すと魂が吸い取られてしまう・・」と警戒されていたみたいだし、スマホの出だしは「ボタン無くて大丈夫?」と心配されていました。
これは警戒したり不安に思う人が悪いというわけではなくて、人の正常な反応だと言われています。ネガティビティバイアスといって、人はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に注意を向けやすい性質にある。だから批判されようが気にしなくてよい。おもしろいアイデア、人の役に立つ発明は必ずどこかで花開く。そう信じてどんどんユニークな考え方で日々の活動を楽しんでもらいたい、そういったことを伝えました。
また、今回のスクールフェスタ全体のテーマが「時代」であったことから、会場の飾りつけにもこだわっておりました。衣食住の歴史をイラストを使いながら整理したもの、縄文から令和まで時代ごとの人物や出来事を整理したものを壁に貼っていました。
それを紹介した後に、Yononakaの時間なので「コミュニケーションの歴史」についても共有していきました。参加者の子供たちは大体4G以降の世界しか知りません。そのちょっと前の大変化、日本で言う昭和から平成に通信手段は大きく変わったことを、問いかけを交えながら伝えていきました。
そのなかでも個人的に大きな発明は「文字」だと思っています。それによって本という媒体に、昔の人の暮らしぶりや考え方などを書き写すことができました。
本を読んで歴史を知ること、これも大きな意味で「コミュニケーション」だと思います。過去生き抜いてきた方々が、生涯を通じて後世に残しておきたかった気持ち、形あるモノないモノは別にして、そういった熱量やパワーを本によって感じることができると思います。本ってすごいなぁ~。
お題③「あなたにとっての理想の“コミュニケーション”」
という流れで最後のお題、1人1人の居心地が良いコミュニケーションの状態を検討していきました。どんな状況で?だれと?何を使って?何を話す?など、考えていきました。
「自分にとってコミュニケーションとは何か」という自分のなかでの定義を言語化して深めていく、そんな時間になったと思います。最後はいつもオンラインで参加しているメンバーに考えを共有してもらいました。前もって誰が話すとかはなく、こちらで目が合った順に発表してもらったのですが、スパッと「自分の考えはこうです!」と発言している姿が印象的でした。そのうえで自分以外の発表の際は傾聴の姿勢を取りつつ、リアクションしていくことで、コミュニケーションを楽しんでいくことができたと思います。まとめとして、「聞き手」の重要性にも触れながら、互いに寄り添う気持ちが大切だということを話しました。
一方的に話すだけでなく、時々問いかけながら、相手の理解がどのあたりか確認しながら話を進める。聞く方としては、疑問に思ったことは質問しながらわかろうとしながら、またその姿勢を見せながら発表を盛り上げていく。そのスタンスが大切だと個人的に思っております。
また、1人1人の意見は違って当然です。というのも過去の経験によって意見が形成されるからです。過去どのように過ごしてきたか、何を選択し何をやってきたか、そういった1日1日の生活は1人1人違います。
その経験してきたことを時に振り返り、自分は何者か?考える時間も必要だと思います。その習慣をつけるのがYononakaであり、自己分析を進めることで自己理解が深まり、他者に対して自分を表現することができます。
世の中の流れとしても、「自分は何者か」「何が大事で、何が得意で、何がやりたいのか」そういったことを他者に表現できる人が求められています。
23年度の大学入学者選抜の実施方法がデータとして出ておりましたが、一般選抜のテスト入試は5割を下回っており、代わりに総合型選抜の割合が高まっています。これは小論文や面接などによる「自己表現力」を重視していく傾向にあるということです。
企業が欲しい人材に関しても同様です。コミュニケーション能力が高い人、これは20年間不変です。次に主体性やチャレンジ精神など、積極的能動的に取り組む姿勢が大事というわけです。
そういった世の中の流れをふまえて、今回のスクールフェスタでは「なんでも発表会」というプログラムを実施しました。その名の通りテーマは「なんでも」で、発表者が発表したいこと、ダンスやゲームやイラストや朗読、一人語りや質疑応答形式や二人の会話など、内容も形式も問わない発表会を実施しました。こちらもYononakaとあわせて引き続き、スクールで開催していきたいと思っています。
Yononakaの参加者の感想を以下に記します。
・自分では思いつかないような、ユニークな視点での意見をたくさん聞けたので、びっくりや楽しいなあと思える瞬間がたくさんありました。
・みんなそれぞれ違う時代に行きたいと思っている点はあるだろうなと思っていましたが、実際に"細かく"聞くと同じ過去でも理由が違っていたりしていたのがとても面白かったです。
・みんなのクリエイティブなところが印象的でした。
・リアル開催の良さが感じられる雰囲気で、個人ワークでの集中モードとグループワークでの和やかな笑顔が印象的でした!
・オンラインでやるのもいいですが、みんなで顔を突き合わせてリアルでやるのがすごく良かったです。
Yononakaも3年目になりました。毎回10~15人が参加しています。
常連の参加者は「意見をつくって表現すること」が習慣になっていて、ひとつの問いに対する回答が、量・質ともに進化していっています!
おかげさまで毎回こちらが思っている以上に意見が活発化するため、時間オーバーが続いております(笑)
TikTokなどの短尺動画の常態化、動画は倍速視聴が当たり前、だんだんと生活が高速化しているなかで、正解のない問いに対してじっくり吟味する時間が貴重だと思っています。
自分の意見を発信する、他者の意見に耳を傾ける、そしてまた自分の考えをフィードバックする、その会話の連鎖によって生まれるアイデアを大切にしていきたいと、個人的に思っています。互いの視点を尊重しながら意見交換を行うことで、一人では思いつかないような創造的なアイデアが生まれることでしょう。
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