8回目の授業レポートです。
こちらの動画から授業の様子を見ていただければと思います!
参加者はスタッフを入れて18名。小学生5名、中学生5名、高校生2名、大学生以上6名と異年齢が集まるなかで、意見を共有し合いながら進めていきました。 今回のテーマは「あなたを知る」 カイシャづくりも企画が決まり、これからはチームに分かれて進めていくことが増えていきます。
チームで仕事をする上で、大切な仲間やお客さんのこと、あなた(自分)のことをより深く知っていく授業です。
企画とチーム決定!
7/28(日)にプレゼン発表が行われ、参加者だけでなく、観覧に来ていただいた職業人、保護者の方々による
投票で企画が決まりました。
決まった企画は全部で4つ。それぞれチームのメンバーも決定しました。 ※発表順に並べています。
①ケンシロウくんの「小説×ゲーム」
➁ソウタくんの「建築の素」
③ユウキくんの「アーテックロボ博物館」
④ぬびくんの「進化版 日傘」
プレゼン当日、次の発表者の待機席で隣に座って様子を見ていましたが、みんなの緊張がヒシヒシと伝わりました。
職業人や保護者の方を含めると、40~50名の方がいらっしゃいました。
その大人数の前でプレゼンをするというのは緊張を通り越して恐怖を感じるようなことだったと思います。
企画の結果はともかく、そこで発表できた、ということに自信を持ってほしいなと感じました。
「声が小さかったかな…」「スライドがわかりにくかったかな…」など自分なりの反省はあると思います。
それでも、ここで感じた緊張や思いというのは、きっと貴重な経験になるでしょう。
個人的には、本当にみんなのがんばりを感じられたことが嬉しく、もう全部の企画を採用したいくらいでした。
本当にお疲れさまとよくがんばったねと伝えてあげたいですね。みんなかっこよかったです。
お題①自分の得意なことと苦手なことを伝えよう
さて、企画決定をお知らせしてから、前半は「チームで働く」ことについて話しました。
8月以降のカイシャづくりは「協働」、文字通り協力して働いていくことが軸になってきます。
そこで大切になってくるのが、「仲間を知る」こと。
これまでとは違い、チームの仲間のことを深く知ることが必要になってきます。
一人では実現できないことを、チームの力で何倍にも面白く、いいものにしてくれたらと思います。
そのために、チームのメンバーそれぞれが「役割」を担ってもらう。
カイシャづくりのテーマである「経営者を体験する」の通り、企画者だけが経営者なのではなく、
一人ひとりが担った役割では経営者として、しっかり考えながらいいチームにしていきます。
そんな「役割」ですが、ベストな役割を担うために、それぞれに自分の得意と苦手を伝えてもらいました。
これからチームとしてやっていくメンバーに自己紹介代わりに自分を知ってもらおうというワークです。
今回、参加者数の都合から4グループではなく、3グループに分かれました。
みんな、たくさんの得意と苦手を考えてくれました。また、「どうしてそれを得意(苦手)と思うか?」という
きっかけやエピソードもあれば教えてください、と伝えていたので、それも併せて書かれています。
アイデアを出すことや発表すること、普段のスクールでの授業や家でゲームを作ったりする経験から、
プログラミングに関することなどたくさんの意見が出ました。得意と苦手がきれいに分かれたのもありましたね。
苦手の部分が多くでましたが、得意なことがないという意見もありました。
だれかと比べたり、上を見るとキリがありません。上を見てあきらめるのではなく、
目標とする人に負けないように自分もなにかを得意と言えるように磨いていってほしいなと思います。
お題➁「イラストの中にいる人の気持ちを想像しよう」
お題①まででは「仲間を知る」という部分を中心に話してきました。
カイシャづくりでは、他にも知っていてほしい人がいます。
そうです。
「お客さん(他人)を知る」です。
他人というと距離を感じますが、実際に来ていただくお客さんは普段関わりがない方も多くいらっしゃいます。
そういった人たちのことを知るにはどうすればいいのか。
先日「職業人インタビュー」を実施した際、多くの職業人の方に、
「初対面の同僚(一緒に働く人)やお客さんのことを知るにはどうしたらいいか?」という質問をしました。
すると、「まずは相手の話をしっかりきくこと、相手の考えや思いを知ること」とおっしゃっていました。
過去のワークで「きく」について考えたことがありますが、
相手をより深く知るために、しっかりと「聴く」、ときには自分から「訊く」ことが必要だということ。
実際に働く方たちの意見とも相まって、「きく」ことの大切さを感じてもらえたらと思います。
しかし、あくまで他人であるお客さんに突然「きく」のは難しいですよね。
今回のように、「きく」機会が少ない人のことを知るには、相手の気持ちを想像することが重要になってきます。
「お客さんを知る」ために人の気持ちを想像する。そのためのワークとして、一枚のイラストを見てもらい、
そこに写る人が一体どんなことを考えているのか、どんな気持ちなのかを想像してもらいました。
このワーク、思っていたより盛り上がりました。イラスト作成者としては嬉しい限りです。
様々な人や状況を電車の中に埋め込んだのですが、気持ちや思いだけでなく、そこに至るまでのストーリーを
考えてくれたり、人によって見方や思いがちがうこともたくさんありました。
なぜかみんな「上司」に対して「やばい」という感情を持っているみたいで、そこだけは一致していましたね笑
本来、このイラストを見て、そもそも「上司」が登場する意味がわからない人も多いかと思います。
そのストーリーを思い浮かべるために、一人の人の表情を見て、状況を見て、気持ちを考える。
この大切なことを伝えるためのワークでしたが、みんなが想像以上の回答をくれたので大満足なワークでした。
また機会があれば、ちがうイラストでやってみたいですね。
お題③討論「多数決で決めること」にあなたは賛成か反対か?
ここで休憩を挟んで後半に入ります。相変わらず時間の組み立て通りには進んでくれないなと思いながら…。
前半では「仲間を知る」と「お客さんを知る」という自分の外側に矢印を向けた「知る」について話してきました。
ここからは、タイトルにもあった「あなたを知る」。つまり自分を知るということ。
突然、こう聞かれたらあなたは「自分のことなんて全部知ってるよ」と答えられますか?
この問いは参加してくれている学生だけでなく、私たち大人にとっても大きな問いであると考えています。
ほんの十数年でインターネットが身近になりあらゆる情報にアクセスできるようになりました。
便利になった反面、「人から聞いたこと」「ネットで見たウワサ」をさも自分の意見のように話す人が増えました。
自分の知識として話す一方、それが正しくない情報だったり、だれかを傷つける言葉であったとき、
一転してそれは自分の意見でなく、「〇〇が言ってたから」「ネットに書いてたから」といって人のせいにする。
果たしてそれは自分の意見ということができるでしょうか?
自分がどんなことを正しいと思い、自分の意見としてしっかり伝えられるのか。
自分の考えや思いを知るためには、ひとつの意見やひとつの視点だけでは足りません。
しっかりとした自分の意見を持つために、色んな視点に立つ体験をしてもらおう、ということでこのワークです。
少しテーマがアバウトだったのですが、賛成派と反対派に分かれて討論してもらいます。
「多数決で決めること」という、日本で暮らしていると一度は経験したことがある「多数決」。
なにかを決めるときに、「多数決」を使うことに賛成か反対か。
理由も考えて、二つに分かれてもらいました。結果は、反対派が大多数。これが多数決なら反対でした。
ここからの流れとしては、
①賛成派、反対派の2グループに分かれてそれぞれの意見や理由を共有する。
➁それぞれの意見を全体で共有する。
③➁を聞いて、賛成→反対か反対→賛成に変わる人がいればチェンジする。
④少数派のグループから、か変わった人がいればその人から自分の意見を主張してもらう。
⑤④の意見に対してもう一方のグループからだれかが意見をする。
※④と⑤を何回か繰り返す(④の派入れ替わりは最初の一回だけ)。
少しわかり辛いかもしれないのですが、それぞれの意見はこんな感じになりました。
〇賛成派の意見
・日本はそもそも民主主義だから(国として多数決じゃないか)。
・大人数でやったときにすぐに決まるから。
・多数決以外のやり方で決めると、ジャンケンになって運任せになるから(体験談)。
・かつて合議(話し合い)で決めようとした時代も結局は票の奪い合いになった
→多数決できめるというやり方が一番合理的な決め方としていままで残っているから。
〇反対派の意見
・少数派の意見が無視されるから。
・多数派がいると、多い方に引っ張られて自分の意見ではなくなる可能性があるから。
・実際にやって、多数決がそもそも嫌いだから(体験談)。
・意見の濃度が大事(量より質)。
賛成派も反対派もたくさんの意見を出してくれました。
「多数決」というテーマは、状況や経験してきたことで賛成にも反対にもなり得るかな、と思って設定しました。
だからこそ、この意見を全員で共有したとき、賛成→反対、反対→賛成の移動を期待しましたが、まさかの0でした。
討論の口火を切ったのは、
・反対派
「少数派やいい意見が採用されない」という意見に対して、
・賛成派
「そもそもいきなり多数決になるのではなくて、いくつかいい意見が出た上で、その中から多数決で選ばれる。
だから意見が採用されないというより、いい意見の中から採用されているのでは。」という意見が出ました。
・それに対して反対派
「それでもそこから選ばれた意見をいいと思わない人もいるのでは。」という意見。
いくらか賛成派と反対派の意見が飛び交いました。その様子は動画をご覧ください。
(01:22:30~)
反対派だった人が「どちらとも言えない」「わからなくなった」という反応に変わってくれたのがよかったです。
ただ、テーマがアバウトだったので「状況や前提によって変わる」というのもたしかです。
そこはもう少し意見がいいやすいように絞っておくべきでした。ごめんなさい。
いままでにないワークで、少しレベルの高い「討論」を初めて実施しました。
自分とはちがう立場からの意見を聞いて、考え方や視点を広げるきっかけになっていてくれたらと思います。
想定していたより時間を要したので、今度は「討論」だけで一コマ使ってもいいかな、と感じました。
きょうのまとめ
企画とチームが決定し、いよいよこれからカイシャを形にしていく8月。
その一発目となる今回は、新しいワークも加えて「知る」ということをテーマに学びました。
前半では「知る」の対象を外側に向けて、
「仲間」と「お客さん」のことを知る。
「仲間」を知るには、まず相手の声を聴き、ときには訊きながらお互いのことを知っていってください。
「お客さん」を知るには、相手の気持ちや悩みを想像すること。みんなの商品やサービスが、
想像した悩みを見事に解決してくれることを期待しています。
後半では内側に向けて、
「あなた(自分)」を知る。
これはカイシャづくりに限ったことではなく、これから様々な環境を経験していくみんなにとって、
周りに流されるだけなのか、自分で選んだ道を進めるのかは、
自分のことをちゃんと自分でわかっているかどうかで決まります。
どんな結果になっても、自分で考えた道であれば後悔は少なくて済みます。人のせいにしない、責任から逃げない、
色々な意見を聞きながら、自分だけのしっかりした意見を持つようにしてください。自分の考えを知ること。
今回の内容は、カイシャづくり以外にも広く使える考え方になると思います。
こうして自分だけでなく、仲間やお客さんのことを知り、自分の本音が出せるような環境(チーム)で、
目一杯それぞれの魅力を発揮してくれたらと思います。
授業レポートは以上になります。
今回の自分カイシャづくり体験は「トライアル」という形で、来年以降も継続的に活動していきたいと思っております。ですので都度都度、感想やコメントをいただけますとありがたいです。それをワークに反映していきたいと思っております。
以上です。引き続きよろしくお願い致します。
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